科学系ベンチャーの希少金属材料研究所(玉野市宇野)は、
液体タイプの酸化インジウムスズ(ITO)を業界最小サイズの10㎚(ナノは10億分の1)以下に微細化する技術を開発した。
微細化によりガラス基板にきめ細かく塗布できるようになり、
液晶タッチパネルや太陽電池向けに透明導電膜への活用が可能となる。
今夏にも自社生産を始め、電機メーカーなどに売り込む。
ITOは個体と液体タイプがあり、
透明で電気を通しやすい性質を持つ。
個体タイプは主にガラス基板に付着させて透明導電膜となり、
タッチパネルでは画面に指が触れて生じる電気的変化を検出。
太陽電池では光から作った電流を取り出す役割を果たす。
一方の液体タイプは現在、窓ガラスの遮熱剤などに利用されているが、
大手メーカーの既存製品は粒子が30~50㎚と大きく、
緻密な塗布が求められ液晶関係にはほとんど使われていないという。
同研究所の液体タイプは塩化インジウムや塩化スズ、
水といった基礎原料に加え、独自に金属塩を配合することで粒子を微細化。
隙間なくガラス基板に塗布できるようになり、
透明導電膜への活用が可能となった。
透明導電膜は個体タイプのITOを使う場合、
真空装置内で高電圧をかけ、ガラス基盤に付着させている。
ITOの付着ロスが多い上、真空装置などの設備に数億円かかるなどコスト高が課題となっている。
液体タイプのITOはこうした設備が不要で、汎用印刷機で塗布できる。
同研究所は初期投資を抑えられる点などをPRし、
電気メーカーなどに個体タイプからの切り替えを働き掛ける。
生産は本社の既存設備を使い、8月にも開始。
金属塩を混入させることで高温加熱の設備が不要となり
「大手メーカーより4割以上安くて済む」(同研究所)という
1㌔30万円以下で販売。初年度は5千万円の売り上げを目指す。
液体タイプが普及し、さらに太陽電池などにも大いに使われるようになったら、コンパクながらも発電量が上がるモノが現れたら面白いなぁと思いました(*´▽`*)